料理を作るときの調味料として良く使う「塩」ですが、塩パンや塩ドーナツ・塩味のお菓子など様々なものに使われています。
私達の生活の身近にある塩は、「どのようにできるのか?」「塩の生産量は?」「塩の性質は」などの塩について調べてみましたのでまとめます。
暮らしに必要な塩について学ぶことで、大切さを知ることができ、今までとは違う塩に対する考え方を身に付けたいと思います。
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塩の様々な使い方
塩と言ったら、キッチンの調味料として食用に使われていますが、製品を作るためにも使われています。
塩はどのように使われているのか調べてみました。
塩は何に使われているの?
塩は調味料として料理に使って味を付けたり、整えたり、食品の腐食を防いだり、発酵させるために使ったりします。
味噌・醤油・塩麹・柚子胡椒などの調味料に使われていたり、ハム・ソーセージ・チーズなどの加工食品を作るときにも塩は使われています。
食品に使われるだけではなく、冬の時期の道路の凍結防止のためにも使われる凍結防止剤も塩から出来ています。
濃い食塩水は、マイナス20℃にならならいと凍らないため、凍結防止剤として使われています。
食べ物だけではなく、タイヤ・石けん・ガラス・プラスチックなどを作るためにも使われています。
8割がソーダ工業用に塩が使われている
そもそも、ソーダ工業とは何でしょう?
ソーダ工業とは、塩を原料に幅広い産業分野の原料や副原料、反応剤などに使われる物を製造する工業です。
塩を分解したり、他の物質と合成したりして様々な産業の基礎原料となるソーダ製品を作る場所です。
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人の体には塩が必要
人間の体には塩分が必要で汗をかいたときに塩の味がします。
ということは、体に塩分が含まれているということで、塩は人の体の中で様々な働きをしているので調べてみました。
体の中での塩の働き
人の体には塩(ナトリウム)は必要不可欠なものなので、塩が体の中でどのような働きをしているのかまとめてみます。
人間の体は約60兆個もの細胞から出来ていて細胞は液体の中に浮かんでおり、液体に含まれる塩分で細胞の内側と外側の濃度バランスを一定に保たれています。
運動をして汗をかくと汗には塩分が含まれているので舐めたり、汗が口に入るとしょっぱいです。
人の体には約0.9%の塩分濃度の血液が流れていて体温調整するために汗として水分を肌から体の外に出して、水分が蒸発する力(気化熱)で体の熱を冷やしますが、このときの汗は水分だけではなく塩分も含んでいます。
熱い・痛いなどの刺激を脳に伝えたり、筋肉を動かしたりするのには脳からの命令を受けて電気信号が伝わりますが、そのときナトリウムイオンが必要です。
胃液の主な成分は塩酸で、塩酸は塩化物イオンから作られ、小腸で食べたものの栄養素を分解して体に吸収するときにはナトリウムイオンが必要です。
塩は体内に入ると「ナトリウムイオン」と「塩化物イオン」に分かれて、体の生命維持に必要な働きをします。
人の体にはどのくらいの塩分があるの?
人間の体に含まれている塩分量は大人と子供で違います。
大人は体重の約0.3~0.4%
子供は体重の約0.2%
11歳の小学校6年生の平均体重は38.4kg(2016年度)なので、約77gの塩分が体の中にあるということです。
1日に接種する塩分量の目安(食事摂取基準2015)は
男性:11.1g
女性:9.4g
となっていて、塩分を取り過ぎたら腎臓から体外に排出します。
汗をかくと塩分が体外に排出される
体を動かすと筋肉が伸びたり縮んたりして動作を行ない、血管にある酸素や栄養素がエネルギーとして使われますが、そのとき熱エネルギーも一緒に発生します。
体を動かいて体内で発生した熱は体温を保つ分は蓄積しますが、余分な熱は放出しないと体温がどんどん上がってしまうため体温を下げる必要があります。
そのとき、汗を出して水分を蒸発させることで体温を下げて調整します。
この汗には塩分が0.2~0.5%含まれていて、汗を大量に出したら効率よく水分を補給しないといけません。
でも、水を飲むときは水道水ではなく塩分(ナトリウム)が含まれているスポーツドリングを飲むことが大切になります。
体内の塩分が不足すると
体に必要な塩分は食事から摂取することができるので、あらためて塩分を取ることは必要はありません。
過剰に取った塩分は、腎臓が塩分量を調整して体外に排出されますが、大量の汗をかいたり、下痢をしていると体内の塩分がどんどんと排出されてしまい塩分不足になり体に次のような症状が発生することがあります。
・立ちくらみ
・脱水症状
・倦怠感
・精神不安定
・けいれん
・眠くなる
・力が入らない
食べ物に塩は欠かせない
和食は昔から塩を使った料理が多く、味を引き締めたり、魚や野菜の長持ちさせたり、保存食としても塩は使われ、食品保存に欠かせない塩です。
味噌や醤油
味噌や醤油は発酵食品で、昔から日本で使われている調味料です。
発酵させるために、麹菌や乳酸菌の働きを助けたり、旨味を作り出すために塩は使われますが、さらに雑菌の繁殖を抑える働きもあります。
麺類
うどんやそうめんは小麦粉に塩水でねることで粘りが出て、コシのある美味しい麺ができます。
塩漬け
食材を塩漬けにすることで保存期間を長くすることができます。
塩の中に食材を入れることで、食材の水分を抜き、細菌の繁殖を防ぎ、腐りにくくしてくれます。
梅干し・イカの塩辛・野菜などを塩漬けにして保存食にすることができます。
野菜の色を鮮やかにする
色の濃い野菜(緑黄色野菜)を塩ゆですると野菜の色が鮮やかになり、美味しく仕上げることができます。
食べ物に含まれている塩分量は?
食品 | 塩分量 |
---|---|
梅干し | 22.1% |
醤油(濃口) | 16.0% |
醤油(薄口) | 14.5% |
米みそ | 6.1% |
ソース(中濃) | 5.8% |
ケチャップ | 3.3% |
うどん(生) | 2.5% |
マヨネーズ | 1.8% |
食パン | 1.3% |
自分で料理の塩分濃度を調べるなら
1日の塩分摂取は約10g程度ですが、朝・昼・夜のご飯を食べるだけで10g以上の塩を1日に食べていることで血圧が高くなったりすることもあります。
どの食品に、どれだけの塩分が含まれているのか確認してみるのは面白いと思います。
塩ができるまで
塩は何から作られるのでしょうか?
食事をするときに、料理の味を引き締めるために塩を入れますが、スーパーで買うことができるため塩というものが「どのように作られているのか」分からないという人もいます。
世界の塩は、岩塩・海水・湖塩などから作られています。
ほとんどの塩は、海水から作られていると思っていましたが岩塩から作られていることが分かります。
日本は、岩塩鉱山がないため海水から塩を作るのが主です。
世界では、地殻変動によって閉じ込められた海水が長い年月を掛けて結晶になった岩塩や、海水がリクに閉じ込められて湖のようになった塩湖から取れる湖塩を原料としています。
塩湖・岩塩はどうやってできたの?
昔、地表の温度が下がり、空気中にある水蒸気が雨となって振ります。
火山活動も盛んだったため、空気中に含まれる塩酸ガスや亜硫酸ガスを含んだ雨になり、これを酸性雨といいます。
酸性の雨が溜まると、地面のナトリウムやマグネシウムなどの成分を長年に掛けて溶かして他の湖や池と一緒になって海が作られました。
酸性の雨で地面のナトリウムが湖や池の水に溶け出したことで塩分を含み水になり、複数の水たまりが集まることで海は塩分を含んだ水になりました。
火山や地震などにより海を遮るような陸の盛り上がりが起こると、海水が陸に閉じ込められます。
雨が少なく、気温が温かい地域では水分が蒸発して塩分濃度が高い湖ができ、これを塩湖といいます。
世界的に有名な塩湖はウユニ塩湖ですが、他にもマカディカディ塩湖・エトーシャ塩湖などがあります。
塩湖の水分が更に蒸発すると塩が結晶化して湖の底に溜まり、塩の堆積層となります。
その上に火山や地震などで土砂が積もり、土砂の重みで閉じ込められた塩が圧力を受けて岩のように硬い塩となり、これを岩塩といいます。
塩湖も岩塩も、大昔に塩分を含んだ水溜り、湖や海だったと言えます。
主な塩の作り方
塩は、海水や岩塩・湖塩などから作られますが、資源となる材料によって塩を作る方法に違いがあります。
上図のように主な塩の作り方には4つあり、海水を使ったイオン交換膜と溶解は日本で行われています。
日本の塩の作り方
日本の塩作りは、海水を汲み上げて作る「イオン交換膜製塩法」です。
海水に含まれるナトリウムイオンと塩化物イオンを集めて、塩を作る方法が主な製造方法です。
海水を汲み上げて、ろ過器で綺麗にしてイオン交換膜透析槽に海水を送ります。
イオン交換膜透析槽には、陽イオン交換膜(黄色)と陰イオン交換膜(オレンジ)が交互に並んでいます。
陽膜は陽イオンを通し陰イオンは通しません。
陰膜は陰イオンを通し陽イオンは通しません。
電気を通すことで、陽イオン交換膜(黄色)と陰イオン交換膜(オレンジ)の間に濃い塩水を作ることができます。
濃い塩水は、真空式蒸発缶に送られて温められることで塩水を煮詰めます。
遠心分離機で水分とにがりを取り除き、水分量が少ない塩は遠心分離後に塩になりますが、水分が多い塩は乾燥機でさらに水分を取り除いて塩になります。
塩の歴史
年代 | 出来事 |
---|---|
~6、7世紀 | 海藻を使って海水から塩を作る藻塩焼きが行われていた。 |
8世紀 | 海藻を使った塩作りから、海辺の砂から塩を作るようになる。 |
12世紀頃 | 鎌倉時代には塩浜・塩田が作られ揚浜式塩田で作られるようになる。 |
17世紀頃 | 江戸時代になると、潮の満ち引きを利用して海水を塩田に引き入れる入浜式塩田で作られるようになる。主に干満差の大きい瀬戸内地方で盛んになる。 |
1905年 明治38年 |
国内の安定した塩の流通を行うために塩の専売制度が始まる。 |
1952~1971年 昭和27~46年 |
海水を緩やかな斜面を使ったり、竹などで枝条架を作り流下させることで労働力を入浜式よりも10分の1にできる流下式塩田が主流になる。 |
1971年 昭和46年 |
流下式塩田からイオン交換膜を使い、濃い塩水を作り、塩を精製するイオン交換膜製塩法に切り替わる |
1997年 平成9年 |
塩の専売制度が廃止され、塩の製造・輸入・販売が自由に行えるようになる。 |
塩の専売制度とは
塩は国内でも古くから作られていましたが、明治の開国後は品質が良く低価格な外国の塩が入ってきて国内の塩事業への危機感と、日露戦争による戦費の調達に苦労していた政府が、塩事業の基盤整備と収入を確保するために塩の専売制度を検討し、1905年(明治38年)6月に実施されました。
国の管理下で塩をいつでも安く購入できるように、外国産の塩に負けない技術力と発展を目的に作られた制度です。
92年間続いた塩の専売制度は1997年(平成9年)4月に廃止され、現在は公益財団法人塩事業センターが日本国内の塩を安定販売したり、不足する事態に備えたりと一定量の塩を保管しています。
移り変わる塩の作り方
時代が変わるに連れて、塩の作り方も変わってきました。
どのようにして塩を作ってきたのが見てみましょう。
藻塩焼き
藻塩焼きというのが、どのような方法で塩を取っていたのかは諸説ありますが、調べてみた結果、主に3つの説があるようです。
・海藻を天日干しして、そこに海水を掛けて海藻の表面に出来た塩を洗い流して塩水を作る
・海藻を焼いた灰塩をそのまま使う
・海藻を焼いて作った灰塩に海水を掛けて濃い塩水を作る
揚浜式塩田
桶などを使って海から海水を汲み上げます。
海水を塩浜に撒きます。
砂を太陽熱や風で水分を蒸発させ乾燥させます。
乾燥した砂を集めます。
その砂を沼井に入れ、海水を入れたら下から海水が出てくるようになっているので釜まで運びます。
砂は塩浜に撒いて乾燥させて次の作業の準備をします。
釜で濃い塩水を煮詰めて塩を作ります。
入浜式塩田
堤防を作り、満潮と干潮の水位の差を使って満潮時に塩田に海水を引き込みます。
水分の蒸発を促すため、撒砂の表面に筋を付けます。
水分が蒸発して砂に塩分が付いた砂を集めて沼井に入れたら、海水を入れます。
沼井の下から濃い塩水を出して溜めます。
溜まった濃い塩水を煮詰めて塩を作ります。
流下式塩田
ポンプで海水を汲み上げます。
斜面に海水を流して太陽熱と風で水分を蒸発させます。
濃い塩水を循環槽に溜めて枝条架に少しずつ汲み上げます。
太陽熱と風で枝条架から下に落ちるときに水分を蒸発させます。
濃い塩水を煮詰めて塩を作ります。
日本独自の塩の風習・儀式
塩は料理に入れるだけではなく、風習や儀式の中でも塩が使われることが多くあります。
どのようなときに塩を使うのか、いくつか見てみましょう。
清めの塩
塩は清めるものとして使われます。
それは、お葬式に出席して帰ってきたときに家の玄関先で体に塩を振ることで、葬式に出席して元気がなくなった心をリフレッシュするために行ないます。
盛り塩
お店の軒先に盛られた塩が置かれていることがあります。
これを「盛り塩」といい、「お客様がきますように」という縁起をかつぐ意味があります。
お供え物
神様や仏様にお供え物としても塩が使われます。
家にある神棚や仏壇にも塩をお供えしているところもありますが、宗派によって違いがあるようです。
相撲の土俵に撒く
相撲で土俵に上がった力士が塩を撒きますが、神聖な土俵を清める意味があります。
また、土俵に塩を撒くことで土に含まれている水分を塩が吸収することでより土を引き締める働きがあります。
塩の性質知るための実験
塩の結晶を作ってみよう!
塩は小さな結晶が集まって目に見える塩となりますが、その塩の結晶には様々な形があります。
目で見える形の塩の結晶になるとサイコロ状になったり、ピラミッド状になったりします。
塩の結晶の作り方は簡単なので、一度作ってみるといいです。
⇒ 塩の結晶の作り方
塩の濃度の違いによる浮き沈みの実験
世界には塩湖と呼ばれる塩分濃度の高い湖がありますが、中でも有名なのはアラビア半島の北部にある死海という湖の名前は聞いたことがあると思います。
塩分濃度が高いため、人が入っても浮き輪無しで湖に浮くことができます。
死海の塩分濃度は20%以上あり、人も浮くことができますが、身近な野菜や果物で手軽にどのくらいの塩分濃度で浮いたり、沈んだりするのか実験してみると塩水の実験としては楽しめると思います。
塩水はなぜ浮き沈みするの?
野菜や果物の浮き沈みの実験をして、濃度の違いにより浮くものと沈むものがあることがわかります。
浮き沈みは分かりましたが、なぜ浮くものと沈むものがあるのか、その理由を確認してみる実験をしてみましょう。
アイスクリームを作ってみよう
氷に塩を混ぜると温度が下がっていき、0℃よりも低くなります。
氷だけでは凍りませんが、塩を混ぜることで家でもアイスを作ることができます。
生活で使う塩の働き
塩は料理に入れて味を引き締めるためだけではなく、実験で行ったように温度を下げる効果やモノを浮かせる働きもあることが分かりましたが、他にも塩には働きがあります。
味付け以外に塩には、とんな働きがあるのか調べてみました。
果物や野菜の変色を抑える
リンゴを剥いた状態にしておくと茶色く変色します。
りんごが変色する理由は、りんごに含まれるポリフェノールが空気に触れることで酸化して茶色く変色するからです。
しかし、塩水にりんごを浸すことでりんごの周りにナトリウムイオンの膜を作り、酸化を防ぐため変色を防ぐことができます。
りんごだけではなく、じゃがいもやレンコン・桃・ごぼうも塩水につけると変色を防げます。
野菜の水分を出す
塩には水分を吸い出す働きがあります。
キュウリやキャベツ・大根などの水分を出すときに塩揉みしたり、塩に漬けたりして水分を外に出すことで水っぽさを無くします。
水分を多く含んだままだと傷みやすく、細菌が増殖して食中毒になることがありますが、野菜の水分を少なくすることでサンドイッチに野菜を挟むことができ美味しく食べられます。
食品が腐るのを防ぐ
食品を腐らせないために塩漬けしたり、塩もみしたりすることで水分を少なくして微生物の繁殖を抑えることで腐るのを防ぎます。
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まとめ
塩をテーマにして自由研究をまとめるときに、塩の歴史・塩の作り方・塩を使った実験・塩の働きについてまとめました。
他にも塩に関すること、例えば、塩を使うとなぜ甘く感じるのか、塩を使った慣用句、塩が生活に与える悪い影響など塩に関することをまとめていき、その中で自分でできる実験をすることでより知識を深めることができます。
塩の働きは食品に与える影響が多いので、楽しみながら実験を行なうことができ、身近な塩について知る良い機会になると思います。
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